まず令和6年元旦の能登半島地震をはじめとして、その後も全国各地で地震が発生しておりますが、これらの地震災害などによって亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまに衷心よりお見舞い申し上げます。
さて、ここ日本は地震の発生数でも世界第4位にランキングされるほどの地震国であり、今では地震の活動期に入ったといわれるとおり、この先も巨大地震はいつどこでも起こり得るとのことには、この国の地震災害は、既に他人事ではないと改めて認識させられるところです。また、現在では地震に限らず、気候変動に起因する豪雨や洪水発生頻度が全国で増加傾向にあり、これら激甚化・頻発化する水害から国民の生命と暮らしを守るため、国は新たな水災害対策としての「流域治水」としての考えのもとに、災害による被害を最小限に抑える備えとして、それぞれ地域において地元企業や団体等との連携を図るなど、地域の新たな潜在能力を引き出しながら、これらの災害に対抗しようとしておりますが、特にこのような中にあって本区では、昨年度より流域治水オフィシャルサポーターとしての国の認定をいただきながら、「田んぼダムの取組」を積極的に展開しているところであります。
また、いまでは脱炭素やカーボンニュートラルのほかに、カーボンクレジットという言葉をよく耳にするようになりましたが、これは温室効果ガス削減効果をクレジットとして国が認証し売買できる仕組みのことであって、カーボンニュートラルを実現するための経済的手段であります。このことでは、既に本地域の農家もJ-クレジット制度を活用した脱炭素化にむけた温室効果ガス削減の取組に大きく動き出しており、この取組におけるJ-クレジット制度とは、水田から発生するメタン量の3割低減を図るために、水稲栽培における中干し期間を従来より更に1週間延長し乾田化することで、その効果の発現に対して農家が報酬を得られるものであります。このように米づくりの現場において、新たな取組が既に国の施策に盛り込まれている現実を受け止めれば、ここ農業農村は単なる食料の生産の場であるだけではなく、これからも安全快適な社会生活を守りながら、持続可能な社会の構築において一翼を担う農家への更なる期待が窺えます。
現在、平成23年度よりスタートした本地域の田んぼダムの取組は、すでに管内の約9割を超える水田で実施されるまでに拡大し、このことでは全国各地からの講演や研修依頼が後を絶たないところでここの一番の関心事となるのは、やはりどのようにしたらこの取組に参加する農家が増えるのか、また本気になってくれるかに尽きるものでありますが、ここでの答えは、本取組の趣旨を理解し行動に移した農家の存在であり、また、この取組の対価をしっかり農家に届ける仕組みを構築できたことにあります。
農村ではそれぞれどこの地域にも希望があり、真剣に未来予想図を思い描いているものですが、ここの希望とは、他人が何かをしてくれることを期待したり、簡単に願うだけで叶うことではありません。いつの世も他人を変えることは難しいことだと理解できれば、常にこの希望への近道は自分を変えることであり、そこには行動する者の存在があることだとわかります。時代の変遷と共にこれからも農家や農村が果たすべき役割のその多くは、それぞれの地域にその判断は委ねられるものと思いますが、本地域のようにどんな取組であっても、臆することなくチャレンジしてくれるここの農家の存在は本区の誇りであり、次の時代への大きな希望です。
本区は、これからもこのような農家を支えながら、農業振興と共に持続可能な社会づくりにその持てる力を十分発揮できるよう精励する所存でございますので、関係者各位におかれましては、これまで同様ご理解ご協力と共に忌憚のないご意見を賜れれば幸いです。
最後になりますが、総代並びに関係者各位におかれましては、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い申し上げ挨拶に代える次第です。